ひよこ、すずりにむかいて

呼吸は残らないけど文字は残る

昨日、退学した大学の先生と食事に行った①(忘れないために)

きっかけは、在学時に唯一まじめに受けた授業の関連教材が

本屋に並んでいるのを見て、暇だったから購入した事だった。

 

(ちなみに言うと、2017年七月の100分de名著「高慢と偏見」のテキストである)

 

授業を受けたときから、なんとなくこの作品が好きだと感じていた。

三年後の今この教材を読んでみて、やっぱり自分に合う、と確信した。

 

教材を半分くらい読み終わったところで、

大学の事をたくさん思い出した。

 

授業は週に数回しか出ないし、寝てばかりだし、

留年するし、図書館の本は延滞するし、最悪の生徒だった。

 

大学はとても好きだった。

 

ひとつめの高校を中退してしまったので、

また通うという行為が出来る事を嬉しく思っていたし、

ようやく理数科目から開放されて、

授業は好きな内容ばかりだった。

 

けど、どうしても、(ADHDやその二次障害の影響で)

朝起きる・電車に乗る・授業中じっと座る・眠気に負けない・

周りのざわめきに影響を受けない・悪口が聞こえても動揺しない・

期限を守る・授業を自分で組み立てる・時間割や友人を覚える

など、なかなかクリアできないのと、その上で自信を保つのが難しかった。

 

そんなこんなで三年通って二年生で辞めてしまった。

 

一年生の前期で、大学生活の基本を学ぶ基礎ゼミというものがあり、

一番好きな授業の先生が、私の基礎ゼミの担当だった。

西原(仮名)先生だ。

 

例の教材を半分くらい読んだところで、

先生に会いたい!と思った。

 

イギリスの小説を担当している、年は私より3まわりくらい上なのだが、

やさしいけど活き活きしていて、

イメージで言うと滝を登る鯉のような先生だ。

 

実際どうなのかは知らないが、漫画に出てくるお嬢様っぽいなあとも思う。

お嬢様と言うと世間知らず、という単語も時たまついてくるが、

自分の人生を自分で切り開いてきたのを感じるところが、

一年生の四月からもうとても好きだった。

 

メールを送ろう、とファミレスで思いついて、

家に帰るまで悩んだ。

 

三年前の一生徒、しかもゼミではなく基礎ゼミのほうだし、

授業サボってたし……そもそも覚えてもらっているかどうか。

迷惑じゃないかとか、メアドが仕事用じゃないのかとか、

メールの文章どうしようとか、うんうん唸って、

数時間後にメールは完成した。

 

「西原先生、数年前お世話になった日下と申します。」

から始まり、

最近の身の上をちょこっと、

教材を読んだ事、

先生の授業が好きだった事、

(ゼミに入りたかった事、)

 

最後は何回も書いては消して、やっぱり書いた。

 

「いつかまた、(お茶でもして)お会いしたいです」

 

 

返信は来ないものと思っていたが、

(どころか、「覚えてない、迷惑だ」と思われるくらいの気持ちでいた←失礼)

一日か二日後に、「食事でもしませんか」と返信が来た。

(続く)